マージナルプリンス2の二次小説です
2009
東京都内のゲームセンター。その一角に人だかりが出来ていた。
色素の薄い茶髪の外国人が、格闘ゲームのステージを次々にクリアしていくのだ。
装いは白のワイシャツに落ち着いたブラウンのジャケット。
また相手のコンピューターを打ち負かし、拍手とどよめきが起こった。
あと一回戦勝てば全クリ。難易度が高過ぎて、
幻と呼ばれるエンディング画面がすぐそこまで来ていた。
その異様な盛り上がりに背を向けて、クレーンゲームに熱中している外国人が居た。
長い髪をひとつに束ねている。彼の狙いは大きな犬のぬいぐるみらしい。
先程から何回も挑戦しているが、一度も成功していない。
彼等から少し離れたところには、金髪の外国人と日本人が居た。
遠巻きに格闘ゲームとクレーンゲームを観戦しながら立ち話をしている。
「じゃあ、##NAME1##に兄弟が居るのか?」
「うん。ユウタくんっていう弟が一人ね。俺はゆーくんって呼んでるけど。
小さい頃は、ねーちゃんとゆーくんと俺で、よく遊んでたんだ」
「成程。子どもの頃から、男慣れしてたのか。それで俺の前でもあの態度なわけね」
「男慣れって。ヘンな言い方しないでよ」
「で、子ども時代のお前達は、どんな遊びしてたわけ?」
「あのさ。さっきからねーちゃんのこと聞いてばっかだよ?
日本のゲーセンに行きたいって言い出したのはリチャードなのに。
最初にちょっとやっただけで、全然ゲームしてないしさ」
入店直後は金髪男も格闘ゲームで対戦プレイをしていたのだが、
一向に茶髪男に敵わないので、早々に撤退してきたのだ。開き直った男はこう言った。
「##NAME1##のこと知りたいって思うことのどこがいけないんだ?」
日本人は言い返せない。二人の視線の先に少し動きがあった。
クレーンゲーム下手な長髪男の横に、他の外国人がすっと来たのだ。
青い眼をした無表情の男。彼は先程から長髪男のプレイを見守っていた。
長髪の肩に手を置いて、無表情のまま短く何か言った。
すると、長髪男は場所を譲った。プレイヤーの立ち位置に付いた男はコインを投入した。
金髪男と日本人は、クレーンゲームと格闘ゲームを交互に見物しながら、話を続けている。
「その、本物の弟くんは、今幾つなんだ?」
「高2かな。でも日本には居ないんだ。ゆーくんも海外留学してるから」
「へえ?」
「実は俺、シェスカベリー大学に来たのは、ゆーくんが留学したから俺も、って思ったところもあるんだよね。
ゆーくんが留学してからのねーちゃんは、いつもゆーくんのこと心配してた。
俺とたまに会っても、ゆーくんの話ばっかりになって」
「つまり、ケイは、弟くんに負けない男になる為にイギリスに来たわけだな?」
「えっ? いや、そんな……他にも理由は色々あって……」
「今更隠すなよ、ケイ。まとめると、こういうことだろ?」
芝居がかった台詞回しで、拳を胸に置いた。
「ああ。俺はこんなに近くに居るのに、ねーちゃんは俺を見てくれない。
それなら俺も外国に行って、ねーちゃんを見返してやるんだ!」
握り締めた拳をパッと開き、小芝居が終わった。
「っつー意気込みで日本を出てきたんだろ? お前、意外と男気あるじゃん? ちょっと見直したわ」
「だから、俺は別に」
「だが、俺なら、弟くんが居ない隙に、##NAME1##に近付くかなあ。
寂しがってるうさぎちゃんを放っておくなんて、そんな勿体ないこと、俺にはできないから」
「ええっ!?」
日本人の驚きとは別に、大きな歓声が上がった。二人はそちらを見る。
格闘ゲームの画面に高画質のCGで描かれたエンディングが流れている。
ギャラリーの中には携帯電話でエンディングを記念撮影している者も居た。
「ユリウスの奴、やっと終わったか」
金髪男が日本人の肩に腕を回す。
「じゃ、そろそろ次行くか?」
「あー、もう行く? 俺んち」
金髪男はニヤリと笑う。
「の、隣」
→
色素の薄い茶髪の外国人が、格闘ゲームのステージを次々にクリアしていくのだ。
装いは白のワイシャツに落ち着いたブラウンのジャケット。
また相手のコンピューターを打ち負かし、拍手とどよめきが起こった。
あと一回戦勝てば全クリ。難易度が高過ぎて、
幻と呼ばれるエンディング画面がすぐそこまで来ていた。
その異様な盛り上がりに背を向けて、クレーンゲームに熱中している外国人が居た。
長い髪をひとつに束ねている。彼の狙いは大きな犬のぬいぐるみらしい。
先程から何回も挑戦しているが、一度も成功していない。
彼等から少し離れたところには、金髪の外国人と日本人が居た。
遠巻きに格闘ゲームとクレーンゲームを観戦しながら立ち話をしている。
「じゃあ、##NAME1##に兄弟が居るのか?」
「うん。ユウタくんっていう弟が一人ね。俺はゆーくんって呼んでるけど。
小さい頃は、ねーちゃんとゆーくんと俺で、よく遊んでたんだ」
「成程。子どもの頃から、男慣れしてたのか。それで俺の前でもあの態度なわけね」
「男慣れって。ヘンな言い方しないでよ」
「で、子ども時代のお前達は、どんな遊びしてたわけ?」
「あのさ。さっきからねーちゃんのこと聞いてばっかだよ?
日本のゲーセンに行きたいって言い出したのはリチャードなのに。
最初にちょっとやっただけで、全然ゲームしてないしさ」
入店直後は金髪男も格闘ゲームで対戦プレイをしていたのだが、
一向に茶髪男に敵わないので、早々に撤退してきたのだ。開き直った男はこう言った。
「##NAME1##のこと知りたいって思うことのどこがいけないんだ?」
日本人は言い返せない。二人の視線の先に少し動きがあった。
クレーンゲーム下手な長髪男の横に、他の外国人がすっと来たのだ。
青い眼をした無表情の男。彼は先程から長髪男のプレイを見守っていた。
長髪の肩に手を置いて、無表情のまま短く何か言った。
すると、長髪男は場所を譲った。プレイヤーの立ち位置に付いた男はコインを投入した。
金髪男と日本人は、クレーンゲームと格闘ゲームを交互に見物しながら、話を続けている。
「その、本物の弟くんは、今幾つなんだ?」
「高2かな。でも日本には居ないんだ。ゆーくんも海外留学してるから」
「へえ?」
「実は俺、シェスカベリー大学に来たのは、ゆーくんが留学したから俺も、って思ったところもあるんだよね。
ゆーくんが留学してからのねーちゃんは、いつもゆーくんのこと心配してた。
俺とたまに会っても、ゆーくんの話ばっかりになって」
「つまり、ケイは、弟くんに負けない男になる為にイギリスに来たわけだな?」
「えっ? いや、そんな……他にも理由は色々あって……」
「今更隠すなよ、ケイ。まとめると、こういうことだろ?」
芝居がかった台詞回しで、拳を胸に置いた。
「ああ。俺はこんなに近くに居るのに、ねーちゃんは俺を見てくれない。
それなら俺も外国に行って、ねーちゃんを見返してやるんだ!」
握り締めた拳をパッと開き、小芝居が終わった。
「っつー意気込みで日本を出てきたんだろ? お前、意外と男気あるじゃん? ちょっと見直したわ」
「だから、俺は別に」
「だが、俺なら、弟くんが居ない隙に、##NAME1##に近付くかなあ。
寂しがってるうさぎちゃんを放っておくなんて、そんな勿体ないこと、俺にはできないから」
「ええっ!?」
日本人の驚きとは別に、大きな歓声が上がった。二人はそちらを見る。
格闘ゲームの画面に高画質のCGで描かれたエンディングが流れている。
ギャラリーの中には携帯電話でエンディングを記念撮影している者も居た。
「ユリウスの奴、やっと終わったか」
金髪男が日本人の肩に腕を回す。
「じゃ、そろそろ次行くか?」
「あー、もう行く? 俺んち」
金髪男はニヤリと笑う。
「の、隣」
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