マージナルプリンス2の二次小説です
2009
ユウタの家のリビングルーム。
ドアチャイムに呼ばれて出て行ったまま、ユウタが戻ってこない。
ハルヤは小首を傾げる。
「あれ? 玄関のほうから聞こえてくるの、英語っぽくない?」
ジョシュアは耳を澄ます。微かに聞こえてくるのは、
幾つかの知らない声と、ユウタの声。ユウタも英語で話しているようだ。
「英語、みたいだね」
アルフレッドはそれがどうしたと言うように、
「だから、誰か来たんだろ?」
「そうだけどさ、ここ日本だから。それになんか揉めてない? ユウタ、大丈夫かなあ」
心配そうにハルヤが玄関のほうに視線を送る。
「じゃ、ちょっと見に行ってみるか!」
アルフレッドが身軽に立ち上がる。他全員が「レッド!」と声を揃えた。
「ん? なんだよ、みんなして」
アンリが溜め息を吐く。
「アルフレッド・ヴィスコンティが日本の一般家庭から出てきたら色々問題になると思うけど?」
ハリウッドスターは笑顔を見せる。
「俺は##NAME1##と噂になってもイイぜ?」
アンリがゆっくりと言った。
「彼女が迷惑するから」
まあまあ、とジョシュアが二人を宥める。
「俺達はここで待っていようよ」
複数の足音が近付いてくるのにシルヴァンが気付いた。
「おや? 何人か中に来るみたいですね。お客様でしょうか?」
リビングルームに、見知らぬ男が四人、入ってきた。
先頭に居る金髪の男は、ジョシュア達五人を見て「ヒュ~」と口笛を吹いた。
大きな犬のぬいぐるみを抱えている長髪男が入ってきた。
「彼女、こんなに弟が居たの?」
茶髪の男が苦笑する。
「彼等は弟さんのお友達では? リチャード、私達は一度失礼して、ケイの家で待たせて貰いましょう?」
その言葉を無視して、金髪の男はジョシュア達に問い掛けた。
「なあ。もしかして、お前達も##NAME1##が来るの待ってたりする?」
知らない男の口から出た名前に、アルフォンソ学院チームは驚いた。ジョシュアが代表して答える。
「そう、ですけど。あの、どうして##NAME1##の名前を知ってるんですか?」
今度はシェスカベリー大学チームが驚く番だった。
##NAME1##に会う為に日本に来たのは、自分達だけではなかったらしい。
「ひょっとして、##NAME1##の元カレ集団?
なんだ、あいつウブそうな顔して意外とやるじゃん、ハニーの奴」
「誰が元カレだってー!?」
アルフレッドが叫ぶと、シェスカベリー大学チームのうちの一人が小さく「あれ?」と言った。
傍に居た男が尋ねる。
「どうしたんですか、シノブ」
「気のせいかな。あの人、どこかで見たことがある気がする」
「あ、シノブもですか? 実は私も同じことを思っていたところですよ」
玄関からユウタと誰か知らない日本人が来る。
「ユウタ、彼等は一体……」
ジョシュアの問いにユウタは首を振る。
「解んない、勝手に入っていっちゃって」
金髪の男は、アルフレッドにつっかかっている。
「あ、元カレじゃなかった? じゃあ、ファンの皆かな?
ハニーのファンクラブがあるなら、俺にも教えてくれればいいのに」
「おい、てめえ! さっきからハニーハニーって、##NAME1##のこと言ってんのか!?」
「そう聞こえなかった?」
「##NAME1##のことを気安く呼んでんじゃねえよ! つーか、お前は何モンだ!?」
「人に名前を聞く時は自分から。ガッコで習わなかったのかい、坊や?」
「ぼ、坊やだぁー!?」
「俺より年下に見えるけど? あ、ちなみに俺は20」
茶髪の男が窘める。
「リチャード、何をムキになってるんですか」
「レッドも落ち着いて。初対面の人に失礼だよ」
ジョシュアの言葉で、シノブは思い出した。
「レッド? あっ。彼って、昔、ロッキーと共演してた子どもじゃない?」
「ロッキーって?」とケイ。
「知らないの? ゴールデンレトリバーの役者犬。
ドラマ『わんぱくコリンといたずらジミー』で主役のジミーを演じた、名優ロッキーだよ」
ケイが慌て出す。
「ってことは、この人、アルフレッド・ヴィスコンティ!?
本物だー! なんで気付かなかったんだろ!? ちょ、ちょっと、
なんでゆーくんちに居るの!? ねえ、ゆーくんの知り合いなの!?」
「どこかで聞いた声だと思ったら、最近ではイーグル・アイ・ジェイミーを演じた彼ですね」
「あの赤目もテレビで見る顔だろ」
マリンブルーの瞳をした男が無気力に呟いた。
「彼もハリウッドスターでしたか?」
「役者じゃない。王子」
「王子?」
「最近、ロレート公国の王子に決まった奴だってテレビで見た。
それから、あのアンバーの目をしたチビも、なんかの雑誌に載ってた気がする」
「そう言えば、私も以前何かで……ああ、思い出しました。
確か、『若干17歳で社長を務める、美しき錬金術師』じゃないですか?」
長髪の男が嫌そうに呟く。
「映画俳優に王子に錬金術師って、なんなの、あの集団」
「じゃー、俺から自己紹介するぜ?」
金髪の男は大袈裟に掲げた右手を、胸に置いて礼をした。
「初めまして。元カレのみんな。俺は今カレのリチャード・マークス。よろしくな。
過去の男のことは知らないが、##NAME1##はもう俺のハニーだから、手ぇ出すなよ?」
アルフォンソチームから悲鳴が飛ぶ。
「ああー!?」
「そんなー! 信じられません!」
「うそ……」
「どこが良いの」
「貴方が##NAME1##の……あの、すみません。それは本当なんですか?」
「すみません、皆さん。リチャードの言葉は真に受けないでいいですよ。
彼は女性を見たら、ハニーと呼ぶ病気を持っているだけなんです」
「おい、ユリウス。俺のどこが病気だって?」
「リチャードは暫くお静かに。君が喋り出すと場が無駄に混乱する」
ジョシュア達に振り返る。
「皆さんがご心配されているようなので、誤解のないように、先にお伝えしますが、
私達の中で、##NAME1##さんとお付き合いしている男は居ませんよ。そうですよね?」
「当たり前だ。どうして僕が」
「俺の場合は、時間の問題だけどな」
「興味ない」
アルフレッドが叫ぶ。
「おい! 今、『興味ない』って言った奴、誰だ!? どういうことだ、それ!?」
「あいつに、興味ないから、興味ないって言っただけだ」
「はぁー!?」
「アレックス。君もお口にチャックしといて貰えますか? 少しの間で良いので」
無表情な男は黙った。
「さて。このままでは、ケイの家に移動できませんね。
誰かさんが勝手に家に入って、場を掻き回したせいで」
視線を投げられたリチャードが、ぼそりと言う。
「俺のせいかよ」
「宜しければ、皆さん、一度落ち着いて、お話ししませんか?」
リビングルームが二手に別れる。
テレビの右側のソファに聖アルフォンソ学院、左側にシェスカベリー大学の面々が並んだ。
全員はソファに座れないので、あぶれたメンバーはソファの後ろに立っている。
落ち着いて各自のプロフィールを紹介し合ったことにより、現在の状況が把握できた。
シルヴァンはユリウスに尋ねている。
「じゃあ、##NAME1##と知り合ったのは、約二カ月前ということですね?」
「ええ。ケイが入学した頃ですから」
アンリが呟く。
「LA LUNA. 月が欠け始めた時期と同じだね」
ユウタはケイと話している。
「そっか。リチャードさん達はケイくんの友達で、みんな同じ寮なんだね?」
「ゆーくんの友達も同じ寮なんだね。しかもこんなに有名人だらけなんて。
あの、アルフレッドさん! 俺も小さい頃、『わんぱくコリン』見てたんです。
ねーちゃんやゆーくんと一緒に。今日会えて、本当にカンゲキっていうか、
ビックリしちゃって、あー、なんだか急にキンチョーしてきちゃった」
リチャードはアンリをからかっている。
「なあ。本当にお前も男なのか? 女じゃなくて?」
「僕に、喧嘩売ってる?」
「どうしてその顔で男に生まれてきたかなー。お前が女なら、俺、ゼッタイ落としてる」
「リチャード、この場に女性が居ないからといって、彼をターゲットにしないで下さい」
ユリウスが代わりに謝る。
「すみません、サン・ジェルマンさん。リチャードは綺麗な女性には声を掛けずには居られない性質で」
リチャードは既に役者モードだ。
「ああ、どうしてお前は男なんだろう?
父上とは無関係だと、自分は男ではないと言って欲しい。
それが嫌だと言うのなら、俺だけを愛していると誓ってくれ。
そしたら、俺もマークスの名を捨ててしまおう――ってトコかな?」
本来であれば「どうして貴方はロミオなの?」から始まるジュリエットの名台詞。
それを現状に言い換えて演じているのだと、いち早く気付いたのはアルフレッドだった。
「お前、シェイクスピア好きなのか?」
「お、よく解ったな、ハリウッドスター。古典も勉強してるんだ?」
「シェイクスピアが好きな奴に悪い奴は居ないと思ってたのに。
よりによってこんな奴の口から、ジュリエットの台詞を聞くとは思わなかったぜ」
「待てよ。その説、間違ってないと思うけど?」
ハルヤは隣に居る友達に囁く。
「ねえ、シルヴァン。これさ、お姉さんが帰ってきたら、どうなるんだろ?」
「ザ・修羅場! ですかね♪」
「……なんで楽しそうなのさ」
「だって、##NAME1##の気持ちを聞く良い機会になるじゃないですか。
僕達の気持ちも聞いて貰えますし。あっ! 僕、イイこと思い付きました!」
その時、玄関のドアが閉まる音がした。瞬時に全員が黙る。
玄関ではエコバックを手にした姉が立ち尽くしていた。
「……何、この靴の量」
→
ドアチャイムに呼ばれて出て行ったまま、ユウタが戻ってこない。
ハルヤは小首を傾げる。
「あれ? 玄関のほうから聞こえてくるの、英語っぽくない?」
ジョシュアは耳を澄ます。微かに聞こえてくるのは、
幾つかの知らない声と、ユウタの声。ユウタも英語で話しているようだ。
「英語、みたいだね」
アルフレッドはそれがどうしたと言うように、
「だから、誰か来たんだろ?」
「そうだけどさ、ここ日本だから。それになんか揉めてない? ユウタ、大丈夫かなあ」
心配そうにハルヤが玄関のほうに視線を送る。
「じゃ、ちょっと見に行ってみるか!」
アルフレッドが身軽に立ち上がる。他全員が「レッド!」と声を揃えた。
「ん? なんだよ、みんなして」
アンリが溜め息を吐く。
「アルフレッド・ヴィスコンティが日本の一般家庭から出てきたら色々問題になると思うけど?」
ハリウッドスターは笑顔を見せる。
「俺は##NAME1##と噂になってもイイぜ?」
アンリがゆっくりと言った。
「彼女が迷惑するから」
まあまあ、とジョシュアが二人を宥める。
「俺達はここで待っていようよ」
複数の足音が近付いてくるのにシルヴァンが気付いた。
「おや? 何人か中に来るみたいですね。お客様でしょうか?」
リビングルームに、見知らぬ男が四人、入ってきた。
先頭に居る金髪の男は、ジョシュア達五人を見て「ヒュ~」と口笛を吹いた。
大きな犬のぬいぐるみを抱えている長髪男が入ってきた。
「彼女、こんなに弟が居たの?」
茶髪の男が苦笑する。
「彼等は弟さんのお友達では? リチャード、私達は一度失礼して、ケイの家で待たせて貰いましょう?」
その言葉を無視して、金髪の男はジョシュア達に問い掛けた。
「なあ。もしかして、お前達も##NAME1##が来るの待ってたりする?」
知らない男の口から出た名前に、アルフォンソ学院チームは驚いた。ジョシュアが代表して答える。
「そう、ですけど。あの、どうして##NAME1##の名前を知ってるんですか?」
今度はシェスカベリー大学チームが驚く番だった。
##NAME1##に会う為に日本に来たのは、自分達だけではなかったらしい。
「ひょっとして、##NAME1##の元カレ集団?
なんだ、あいつウブそうな顔して意外とやるじゃん、ハニーの奴」
「誰が元カレだってー!?」
アルフレッドが叫ぶと、シェスカベリー大学チームのうちの一人が小さく「あれ?」と言った。
傍に居た男が尋ねる。
「どうしたんですか、シノブ」
「気のせいかな。あの人、どこかで見たことがある気がする」
「あ、シノブもですか? 実は私も同じことを思っていたところですよ」
玄関からユウタと誰か知らない日本人が来る。
「ユウタ、彼等は一体……」
ジョシュアの問いにユウタは首を振る。
「解んない、勝手に入っていっちゃって」
金髪の男は、アルフレッドにつっかかっている。
「あ、元カレじゃなかった? じゃあ、ファンの皆かな?
ハニーのファンクラブがあるなら、俺にも教えてくれればいいのに」
「おい、てめえ! さっきからハニーハニーって、##NAME1##のこと言ってんのか!?」
「そう聞こえなかった?」
「##NAME1##のことを気安く呼んでんじゃねえよ! つーか、お前は何モンだ!?」
「人に名前を聞く時は自分から。ガッコで習わなかったのかい、坊や?」
「ぼ、坊やだぁー!?」
「俺より年下に見えるけど? あ、ちなみに俺は20」
茶髪の男が窘める。
「リチャード、何をムキになってるんですか」
「レッドも落ち着いて。初対面の人に失礼だよ」
ジョシュアの言葉で、シノブは思い出した。
「レッド? あっ。彼って、昔、ロッキーと共演してた子どもじゃない?」
「ロッキーって?」とケイ。
「知らないの? ゴールデンレトリバーの役者犬。
ドラマ『わんぱくコリンといたずらジミー』で主役のジミーを演じた、名優ロッキーだよ」
ケイが慌て出す。
「ってことは、この人、アルフレッド・ヴィスコンティ!?
本物だー! なんで気付かなかったんだろ!? ちょ、ちょっと、
なんでゆーくんちに居るの!? ねえ、ゆーくんの知り合いなの!?」
「どこかで聞いた声だと思ったら、最近ではイーグル・アイ・ジェイミーを演じた彼ですね」
「あの赤目もテレビで見る顔だろ」
マリンブルーの瞳をした男が無気力に呟いた。
「彼もハリウッドスターでしたか?」
「役者じゃない。王子」
「王子?」
「最近、ロレート公国の王子に決まった奴だってテレビで見た。
それから、あのアンバーの目をしたチビも、なんかの雑誌に載ってた気がする」
「そう言えば、私も以前何かで……ああ、思い出しました。
確か、『若干17歳で社長を務める、美しき錬金術師』じゃないですか?」
長髪の男が嫌そうに呟く。
「映画俳優に王子に錬金術師って、なんなの、あの集団」
「じゃー、俺から自己紹介するぜ?」
金髪の男は大袈裟に掲げた右手を、胸に置いて礼をした。
「初めまして。元カレのみんな。俺は今カレのリチャード・マークス。よろしくな。
過去の男のことは知らないが、##NAME1##はもう俺のハニーだから、手ぇ出すなよ?」
アルフォンソチームから悲鳴が飛ぶ。
「ああー!?」
「そんなー! 信じられません!」
「うそ……」
「どこが良いの」
「貴方が##NAME1##の……あの、すみません。それは本当なんですか?」
「すみません、皆さん。リチャードの言葉は真に受けないでいいですよ。
彼は女性を見たら、ハニーと呼ぶ病気を持っているだけなんです」
「おい、ユリウス。俺のどこが病気だって?」
「リチャードは暫くお静かに。君が喋り出すと場が無駄に混乱する」
ジョシュア達に振り返る。
「皆さんがご心配されているようなので、誤解のないように、先にお伝えしますが、
私達の中で、##NAME1##さんとお付き合いしている男は居ませんよ。そうですよね?」
「当たり前だ。どうして僕が」
「俺の場合は、時間の問題だけどな」
「興味ない」
アルフレッドが叫ぶ。
「おい! 今、『興味ない』って言った奴、誰だ!? どういうことだ、それ!?」
「あいつに、興味ないから、興味ないって言っただけだ」
「はぁー!?」
「アレックス。君もお口にチャックしといて貰えますか? 少しの間で良いので」
無表情な男は黙った。
「さて。このままでは、ケイの家に移動できませんね。
誰かさんが勝手に家に入って、場を掻き回したせいで」
視線を投げられたリチャードが、ぼそりと言う。
「俺のせいかよ」
「宜しければ、皆さん、一度落ち着いて、お話ししませんか?」
リビングルームが二手に別れる。
テレビの右側のソファに聖アルフォンソ学院、左側にシェスカベリー大学の面々が並んだ。
全員はソファに座れないので、あぶれたメンバーはソファの後ろに立っている。
落ち着いて各自のプロフィールを紹介し合ったことにより、現在の状況が把握できた。
シルヴァンはユリウスに尋ねている。
「じゃあ、##NAME1##と知り合ったのは、約二カ月前ということですね?」
「ええ。ケイが入学した頃ですから」
アンリが呟く。
「LA LUNA. 月が欠け始めた時期と同じだね」
ユウタはケイと話している。
「そっか。リチャードさん達はケイくんの友達で、みんな同じ寮なんだね?」
「ゆーくんの友達も同じ寮なんだね。しかもこんなに有名人だらけなんて。
あの、アルフレッドさん! 俺も小さい頃、『わんぱくコリン』見てたんです。
ねーちゃんやゆーくんと一緒に。今日会えて、本当にカンゲキっていうか、
ビックリしちゃって、あー、なんだか急にキンチョーしてきちゃった」
リチャードはアンリをからかっている。
「なあ。本当にお前も男なのか? 女じゃなくて?」
「僕に、喧嘩売ってる?」
「どうしてその顔で男に生まれてきたかなー。お前が女なら、俺、ゼッタイ落としてる」
「リチャード、この場に女性が居ないからといって、彼をターゲットにしないで下さい」
ユリウスが代わりに謝る。
「すみません、サン・ジェルマンさん。リチャードは綺麗な女性には声を掛けずには居られない性質で」
リチャードは既に役者モードだ。
「ああ、どうしてお前は男なんだろう?
父上とは無関係だと、自分は男ではないと言って欲しい。
それが嫌だと言うのなら、俺だけを愛していると誓ってくれ。
そしたら、俺もマークスの名を捨ててしまおう――ってトコかな?」
本来であれば「どうして貴方はロミオなの?」から始まるジュリエットの名台詞。
それを現状に言い換えて演じているのだと、いち早く気付いたのはアルフレッドだった。
「お前、シェイクスピア好きなのか?」
「お、よく解ったな、ハリウッドスター。古典も勉強してるんだ?」
「シェイクスピアが好きな奴に悪い奴は居ないと思ってたのに。
よりによってこんな奴の口から、ジュリエットの台詞を聞くとは思わなかったぜ」
「待てよ。その説、間違ってないと思うけど?」
ハルヤは隣に居る友達に囁く。
「ねえ、シルヴァン。これさ、お姉さんが帰ってきたら、どうなるんだろ?」
「ザ・修羅場! ですかね♪」
「……なんで楽しそうなのさ」
「だって、##NAME1##の気持ちを聞く良い機会になるじゃないですか。
僕達の気持ちも聞いて貰えますし。あっ! 僕、イイこと思い付きました!」
その時、玄関のドアが閉まる音がした。瞬時に全員が黙る。
玄関ではエコバックを手にした姉が立ち尽くしていた。
「……何、この靴の量」
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