マージナルプリンス2の二次小説です
2009
「ごめんってばー。姉貴に黙ってたのは悪かったと思ってるよ」
##NAME1##を驚かせようと、アポなしで日本にやってきた、聖アルフォンソ学院メンバーは、
思わぬライバル、シェスカベリー大生達の登場により、予定以上に##NAME1##を驚かせた。
「ねーちゃん、ほんっとーにゴメン! まさかこんなことになるなんて思わなくて!」
シェスカベリー大学一行を連れてきたケイも顔の前で両手を合わせていた。
実弟のユウタと、家が隣のケイ。
ケイは血さえ繋がっていないものの、幼少期から本物の兄弟同然に育った。
共に過ごした年月で言えば、ケイとの付き合いはユウタより長いのだ。
二人の“弟”が並んでいる光景は、随分と久し振りに見た気がする。
「でも、アルフレッド達が姉貴に会いたがって無茶したのは、姉貴のせいでもあるんだからね?
最近、ちっとも電話掛けてこないんだもん。そんなの誰だって心配になるよ。
だからさ、ちゃんと、みんなの話、聞いてあげてよね!」
##NAME1##に事情を説明した後、シルヴァンの提案により、
一人五分間ずつ彼女と二人きりで話せることになった。
そのスィートルームに選ばれた場所は##NAME1##の部屋だった。
一番手だけは二人組。ユウタとケイは弟チームということで、二人で五分の持ち時間となった。
「俺達は五分も要らないから、もうバトンタッチしてこようかな。みんながケンカしてないか心配だし」
ユウタがベッドから立ち上がる。
「あ、言い忘れてた! あのね、今度、島の美術館でやる展覧会に、
俺の絵を飾らせて貰えることになってるんだ。
でも、出展する絵がまだ完成してなくてさ、あと少しなんだけど、なんか足りなくて、
どうしたらいいんだろうって、最近ずっと悩んでたんだけど」
ユウタは清々しい笑顔を見せる。
「なんか描けそうな気がしてきたよ。ありがと、姉貴! じゃ、次の人呼んでくるね」
「えっ? 俺達はもう終わり?」
「俺達よりみんなのほうが姉貴と話したいだろうし。ケイくん、姉貴ともっと話したかった?」
「あ、いや、別に、そういうわけじゃ、ないけど……」
「そう? じゃあ次の人呼んで来よ?」
子どもの時と同じように、ユウタがケイの手を引いていく。
ケイは一度、##NAME1##を振り向いた。何か言いたそうな顔に見えたのだが、
引っ張られる手に逆らえず、ドアの向こうに消えて行った。
次に##NAME1##の部屋のドアを開けたのは、シェスカベリー組のシノブ。
「女版リチャードみたいだね。あんなに男に囲まれるなんて」
開口一番、シノブは吐き捨てるように言った。
部屋の中に進むつもりはないようで、ドアを背にして立ったまま言った。
「五分間も貰ったって、僕は貴女と話すことなんてない」
いきなり喧嘩越しである。彼の場合は珍しいことではないが。
##NAME1##は先程、気になっていたことを聞いてみることにした。
さっきシノブさんが持っていた犬のぬいぐるみは日本で買った物ですか、と。
「ここに来る前に、ゲームセンターで取ってきた」
クレーンゲーム得意なんですか?
そう言うと、彼はボソボソと返事した。
「最初は、僕があの犬を取ろうとしてたんだけど、上手くいかなくて。
そしたら、アレックスが取ってくれたんだ。あの人、器用だから、何でも」
確かにアレックスならできそうだ。
持ち前のポーカーフェイスで、難なくゲットしたのだろう。
可愛いのが手に入って良かったですね、と##NAME1##は言った。
「貴女もあの犬可愛いと思う?」
ええ、と肯定する。
「あの犬、教授が飼っている犬と似てたんだ」
成程。そう言えば動物と接している時の彼は優しい顔をしていた。
シノブが小首を傾げる。
「もしかして、欲しいの?」
##NAME1##は挙動不審になる。
少し欲しいと思ったのは事実だが、シノブがアレックスの手を借りてやっとゲットした物なのだ。
「あげてもいい」
聞き違いかと思った。
「イギリスまで持って帰ると荷物になるから。この家に置いていく」
でも、と口ごもっていると睨まれた。
「要らないの? 僕があげるって言ってるのに」
要ります要ります、と##NAME1##が慌てる。
「貴女のリアクションって、ケイと似てる」
そう言って、彼は少し笑った。
この部屋に入ってから初めて見せた笑顔だった。
続いて部屋に入ってきたのはユリウス。静かにドアを閉めた。
「すみません。間の悪い時に来てしまって。ご迷惑をお掛けしました」
いいえ、と答えると、優しい笑顔を向けられた。
そして、##NAME1##を見つめたかと思うと、そのまま黙ってしまった。穏やかな顔だった。
どうしたんですか、と問い掛ける。
「やはり、機械を通していないほうが良いですね。貴女の可愛らしい声がよく聞こえる。
許されるのならば、貴女の声をゆっくり聞きたいのですが、
今日は時間がないので、私の小さな我が儘をひとつ聞いて頂けませんか?」
何でしょう、と尋ねた。
「私の名前を呼んで欲しいんです。電話越しではなく、私の目の前で」
##NAME1##は少し途惑いつつ、ユリウスさん、と呼んだ。彼は目を閉じて聞いていた。
「ありがとうございます。貴女の声、私の中にしっかりと刻みました。
これで、イギリスに帰っても、いつでも思い起こせます。
実は、子供の頃から、私には音声レコーダー機能があるみたいなんです。
一度、録音した音声は、どんなに時間が経っても忘れません。
なんて、単に聴覚と記憶力が少し良いだけなんですけどね。
この機能を、初めてポジティブに活用できそうです」
今まではどんなふうに使われてきたレコーダーなのだろう。
ところで、彼は話題を変えてきた。
「つかぬことを伺いますが、##NAME1##さんはゲームはお好きですか?」
嫌いじゃないですけど、と答えた。
「今日は私達、ケイの家で朝までゲームをしている予定なんです。
イギリスでも日本のゲームは大変人気があるのですが、
こちらでは手に入り難い物もあるので、ケイの家に来たんです」
ユリウスが身を屈める。
「よろしければ、遊びに来て下さいね?」
次に部屋に入ってきたアレックスは横髪を弄びながら、
「俺、お前に興味ないんだけど」
##NAME1##は「そう、ですよね」と言いながら、東洋の微笑を見せていた。
二人の間を無音の時間が流れる。間が持たない。
こちらから何か話し掛けたほうがいいのだろうか、でも何を。
「お前、あの赤目と知り合いなんだな」
赤い目を持つ人は、あの中で一人しか居ない。
##NAME1##が、はい、と答えるとアレックスはまた黙ってしまった。
ジョシュアさんがどうかしましたか、そう尋ねると、彼は##NAME1##に背を向けた。
「グラントは止めておけ」
パタンとドアが閉まった。
「へえ。意外と可愛いじゃん。やっぱ男の部屋とは違うなあ、女の子の部屋は」
リチャードはぐるりと部屋を見渡して、迷わずベッドに座った。
手を着いて、何故かスプリングを確かめている。
「うん。なかなかだな。ベッドは狭いくらいが丁度良いし。
それにしても、お前にあんなにカレシが居たなんてなあ。
でも、俺はお前が何人の男に囲まれてたって気にしないぜ?
どうしてって? 解ってるだろ? 俺、人のこと言えないからな」
確かに。だが、リチャードと同類の扱いにされるのには納得し兼ねる。
「安心した。俺から見ても、美形揃いだとは思うけど、11人の中でも俺が一番イイ男だったから。
だから、お前は11人の中から遠慮なく選べば良い。お前が一番スキな男を」
相変わらずのナルシスト。この自信はどこから湧いてくるのだろう。
いや、このルックスでは仕方のないことだろうか。
「まあ、流石に? 本物の王子様まで居たのには、ちょっと驚いたけどな。
あの王子様、確かファミリーネームはグラントだったんだだろ?
よく次期国王に決まったよなあ。心広いんだなー、今のロレート国王って」
イギリスではグラント家の評判ってそんなに悪いの、と聞いてみた。
リチャードは否定しなかった。
「グラント直系の屋敷がロンドン郊外にあるんだ。俺達が居るシェスカベリーからもそう遠くない。
イギリスの、いや、ヨーロッパの人間の多くが、グラント家に良い感情を持ってない。
闇の歴史を担う家系だから、イギリスにはグラントに被害を受けた家も少なくないんだろう。
だから、グラント家に代々受け継がれるあの赤目も、血の色が透けて見えるなんて薄気味悪いとか、
グラントが流してきた血の色だとか、亡者の呪いだとか、色々悪く言われてる」
酷い。##NAME1##は思わずそう呟いていた。
「だよなー。これまでグラントが何をしてきたとしても、王子様自身には関係がない。
あの赤い目だって、薄気味悪いどころか、ルビーみたいで、すげーキレイなのにな」
周囲に流されず、自分の意見を述べた。##NAME1##はリチャードを少し見直した。
リチャードが普段はあまり見せないシリアスな顔になる。
「だが、闇の家系を恨んでいる奴が居る限り、グラントに関われば危険が付き纏うのは事実だ」
本国での世評は相当悪いらしい。
聖アルフォンソ学院に来るまで、ジョシュアはそんな環境で暮らしていたのか。
「しっかし。持ち時間がたった5分じゃ、やろうと思ってたことの半分もできねえなあ。
けど、やっと二人きりになれたんだから」
肩を抱かれた。反射的に自分の肩を見てしまう。
次に正面を向いた時には、近過ぎる位置に青い瞳があった。顎を掴まれ、クイと持ち上げられる。
「やっぱ、キスだけしとく?」
返事ができない。その間に彼の顔が近付いてくる。
短い吐息をすぐ傍で感じた。リチャードは爆笑していた。
「はははっ。なーんてな! 冗談だよ。今するわけないだろ、バーカ」
からかわれた。
憤りと恥ずかしさが身体を駆け巡る。あんたねえ、と言おうとした。
彼は、##NAME1##の顎を支えたまま、親指で下唇をすうっと撫でた。
「今お前にキスしたら、止まんなくなるだろ?」
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##NAME1##を驚かせようと、アポなしで日本にやってきた、聖アルフォンソ学院メンバーは、
思わぬライバル、シェスカベリー大生達の登場により、予定以上に##NAME1##を驚かせた。
「ねーちゃん、ほんっとーにゴメン! まさかこんなことになるなんて思わなくて!」
シェスカベリー大学一行を連れてきたケイも顔の前で両手を合わせていた。
実弟のユウタと、家が隣のケイ。
ケイは血さえ繋がっていないものの、幼少期から本物の兄弟同然に育った。
共に過ごした年月で言えば、ケイとの付き合いはユウタより長いのだ。
二人の“弟”が並んでいる光景は、随分と久し振りに見た気がする。
「でも、アルフレッド達が姉貴に会いたがって無茶したのは、姉貴のせいでもあるんだからね?
最近、ちっとも電話掛けてこないんだもん。そんなの誰だって心配になるよ。
だからさ、ちゃんと、みんなの話、聞いてあげてよね!」
##NAME1##に事情を説明した後、シルヴァンの提案により、
一人五分間ずつ彼女と二人きりで話せることになった。
そのスィートルームに選ばれた場所は##NAME1##の部屋だった。
一番手だけは二人組。ユウタとケイは弟チームということで、二人で五分の持ち時間となった。
「俺達は五分も要らないから、もうバトンタッチしてこようかな。みんながケンカしてないか心配だし」
ユウタがベッドから立ち上がる。
「あ、言い忘れてた! あのね、今度、島の美術館でやる展覧会に、
俺の絵を飾らせて貰えることになってるんだ。
でも、出展する絵がまだ完成してなくてさ、あと少しなんだけど、なんか足りなくて、
どうしたらいいんだろうって、最近ずっと悩んでたんだけど」
ユウタは清々しい笑顔を見せる。
「なんか描けそうな気がしてきたよ。ありがと、姉貴! じゃ、次の人呼んでくるね」
「えっ? 俺達はもう終わり?」
「俺達よりみんなのほうが姉貴と話したいだろうし。ケイくん、姉貴ともっと話したかった?」
「あ、いや、別に、そういうわけじゃ、ないけど……」
「そう? じゃあ次の人呼んで来よ?」
子どもの時と同じように、ユウタがケイの手を引いていく。
ケイは一度、##NAME1##を振り向いた。何か言いたそうな顔に見えたのだが、
引っ張られる手に逆らえず、ドアの向こうに消えて行った。
次に##NAME1##の部屋のドアを開けたのは、シェスカベリー組のシノブ。
「女版リチャードみたいだね。あんなに男に囲まれるなんて」
開口一番、シノブは吐き捨てるように言った。
部屋の中に進むつもりはないようで、ドアを背にして立ったまま言った。
「五分間も貰ったって、僕は貴女と話すことなんてない」
いきなり喧嘩越しである。彼の場合は珍しいことではないが。
##NAME1##は先程、気になっていたことを聞いてみることにした。
さっきシノブさんが持っていた犬のぬいぐるみは日本で買った物ですか、と。
「ここに来る前に、ゲームセンターで取ってきた」
クレーンゲーム得意なんですか?
そう言うと、彼はボソボソと返事した。
「最初は、僕があの犬を取ろうとしてたんだけど、上手くいかなくて。
そしたら、アレックスが取ってくれたんだ。あの人、器用だから、何でも」
確かにアレックスならできそうだ。
持ち前のポーカーフェイスで、難なくゲットしたのだろう。
可愛いのが手に入って良かったですね、と##NAME1##は言った。
「貴女もあの犬可愛いと思う?」
ええ、と肯定する。
「あの犬、教授が飼っている犬と似てたんだ」
成程。そう言えば動物と接している時の彼は優しい顔をしていた。
シノブが小首を傾げる。
「もしかして、欲しいの?」
##NAME1##は挙動不審になる。
少し欲しいと思ったのは事実だが、シノブがアレックスの手を借りてやっとゲットした物なのだ。
「あげてもいい」
聞き違いかと思った。
「イギリスまで持って帰ると荷物になるから。この家に置いていく」
でも、と口ごもっていると睨まれた。
「要らないの? 僕があげるって言ってるのに」
要ります要ります、と##NAME1##が慌てる。
「貴女のリアクションって、ケイと似てる」
そう言って、彼は少し笑った。
この部屋に入ってから初めて見せた笑顔だった。
続いて部屋に入ってきたのはユリウス。静かにドアを閉めた。
「すみません。間の悪い時に来てしまって。ご迷惑をお掛けしました」
いいえ、と答えると、優しい笑顔を向けられた。
そして、##NAME1##を見つめたかと思うと、そのまま黙ってしまった。穏やかな顔だった。
どうしたんですか、と問い掛ける。
「やはり、機械を通していないほうが良いですね。貴女の可愛らしい声がよく聞こえる。
許されるのならば、貴女の声をゆっくり聞きたいのですが、
今日は時間がないので、私の小さな我が儘をひとつ聞いて頂けませんか?」
何でしょう、と尋ねた。
「私の名前を呼んで欲しいんです。電話越しではなく、私の目の前で」
##NAME1##は少し途惑いつつ、ユリウスさん、と呼んだ。彼は目を閉じて聞いていた。
「ありがとうございます。貴女の声、私の中にしっかりと刻みました。
これで、イギリスに帰っても、いつでも思い起こせます。
実は、子供の頃から、私には音声レコーダー機能があるみたいなんです。
一度、録音した音声は、どんなに時間が経っても忘れません。
なんて、単に聴覚と記憶力が少し良いだけなんですけどね。
この機能を、初めてポジティブに活用できそうです」
今まではどんなふうに使われてきたレコーダーなのだろう。
ところで、彼は話題を変えてきた。
「つかぬことを伺いますが、##NAME1##さんはゲームはお好きですか?」
嫌いじゃないですけど、と答えた。
「今日は私達、ケイの家で朝までゲームをしている予定なんです。
イギリスでも日本のゲームは大変人気があるのですが、
こちらでは手に入り難い物もあるので、ケイの家に来たんです」
ユリウスが身を屈める。
「よろしければ、遊びに来て下さいね?」
次に部屋に入ってきたアレックスは横髪を弄びながら、
「俺、お前に興味ないんだけど」
##NAME1##は「そう、ですよね」と言いながら、東洋の微笑を見せていた。
二人の間を無音の時間が流れる。間が持たない。
こちらから何か話し掛けたほうがいいのだろうか、でも何を。
「お前、あの赤目と知り合いなんだな」
赤い目を持つ人は、あの中で一人しか居ない。
##NAME1##が、はい、と答えるとアレックスはまた黙ってしまった。
ジョシュアさんがどうかしましたか、そう尋ねると、彼は##NAME1##に背を向けた。
「グラントは止めておけ」
パタンとドアが閉まった。
「へえ。意外と可愛いじゃん。やっぱ男の部屋とは違うなあ、女の子の部屋は」
リチャードはぐるりと部屋を見渡して、迷わずベッドに座った。
手を着いて、何故かスプリングを確かめている。
「うん。なかなかだな。ベッドは狭いくらいが丁度良いし。
それにしても、お前にあんなにカレシが居たなんてなあ。
でも、俺はお前が何人の男に囲まれてたって気にしないぜ?
どうしてって? 解ってるだろ? 俺、人のこと言えないからな」
確かに。だが、リチャードと同類の扱いにされるのには納得し兼ねる。
「安心した。俺から見ても、美形揃いだとは思うけど、11人の中でも俺が一番イイ男だったから。
だから、お前は11人の中から遠慮なく選べば良い。お前が一番スキな男を」
相変わらずのナルシスト。この自信はどこから湧いてくるのだろう。
いや、このルックスでは仕方のないことだろうか。
「まあ、流石に? 本物の王子様まで居たのには、ちょっと驚いたけどな。
あの王子様、確かファミリーネームはグラントだったんだだろ?
よく次期国王に決まったよなあ。心広いんだなー、今のロレート国王って」
イギリスではグラント家の評判ってそんなに悪いの、と聞いてみた。
リチャードは否定しなかった。
「グラント直系の屋敷がロンドン郊外にあるんだ。俺達が居るシェスカベリーからもそう遠くない。
イギリスの、いや、ヨーロッパの人間の多くが、グラント家に良い感情を持ってない。
闇の歴史を担う家系だから、イギリスにはグラントに被害を受けた家も少なくないんだろう。
だから、グラント家に代々受け継がれるあの赤目も、血の色が透けて見えるなんて薄気味悪いとか、
グラントが流してきた血の色だとか、亡者の呪いだとか、色々悪く言われてる」
酷い。##NAME1##は思わずそう呟いていた。
「だよなー。これまでグラントが何をしてきたとしても、王子様自身には関係がない。
あの赤い目だって、薄気味悪いどころか、ルビーみたいで、すげーキレイなのにな」
周囲に流されず、自分の意見を述べた。##NAME1##はリチャードを少し見直した。
リチャードが普段はあまり見せないシリアスな顔になる。
「だが、闇の家系を恨んでいる奴が居る限り、グラントに関われば危険が付き纏うのは事実だ」
本国での世評は相当悪いらしい。
聖アルフォンソ学院に来るまで、ジョシュアはそんな環境で暮らしていたのか。
「しっかし。持ち時間がたった5分じゃ、やろうと思ってたことの半分もできねえなあ。
けど、やっと二人きりになれたんだから」
肩を抱かれた。反射的に自分の肩を見てしまう。
次に正面を向いた時には、近過ぎる位置に青い瞳があった。顎を掴まれ、クイと持ち上げられる。
「やっぱ、キスだけしとく?」
返事ができない。その間に彼の顔が近付いてくる。
短い吐息をすぐ傍で感じた。リチャードは爆笑していた。
「はははっ。なーんてな! 冗談だよ。今するわけないだろ、バーカ」
からかわれた。
憤りと恥ずかしさが身体を駆け巡る。あんたねえ、と言おうとした。
彼は、##NAME1##の顎を支えたまま、親指で下唇をすうっと撫でた。
「今お前にキスしたら、止まんなくなるだろ?」
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