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マージナルプリンス2の二次小説です

2026

0731
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2009

0912
■マジプリ1×マジプリ2
色とりどりの王子達1 続編
コラボ部屋にドリーム版をアップ中。##NAME1##の部分をお好きな名前に変更できます

同じ頃、世界のどこかに在る小さな島。
ここには、世界中から訳ありの子どもが集まる学校がある。
聖アルフォンソ学院、その生徒達は、マージナルプリンスと呼ばれた。

秋風が月桂樹を撫でていく。さわさわと揺れる森が窓から見えた。
今、寮のサロンに居る生徒は最高学年の三人。二人は中央のテーブル、一人は隅で読書中だ。
それから、大人が一人。
「本日は、クッキーをご用意致しました」
ウーティス寮サロンも放課後のティタイムだった。
コック服が似合う寮専属シェフが、今日のおやつを紹介していた。
「茶色のクッキーがコーヒー味、紅茶の茶葉が入っているものがアッサムティ、
そして、緑の茶葉がグリーンティのクッキーでございます。どうぞ、お試し下さいませ」
「へー、相変わらず凝ってんなー、カミーユ。俺はコーヒーのっ」
早速、手を伸ばしたのは、今年度から高等部三年生になったアルフレッド・ヴィスコンティ。
5歳でデビューした天才子役、現在はハリウッドスターだ。
一時休業宣言をしてこの学院に入ったアルフレッドは、密かに一時復帰した。
尊敬する監督から映画のオファーを受け、夏期休暇の間にまとめ撮りしたのである。
映画の公開は来秋。公にされてはいないが、監督の意向でアルフレッドの卒業を待って、この時期になったのだ。
来年は学院の卒業と同時に、舞台挨拶、公開キャンペーンで世界中を回ることが決まっていた。
だか、それも来年の話。
学生生活を謳歌中のアルフレッドは、コーヒー味のクッキーをほうばっていた。
「うん、うまいぜ、カミーユ」
シェフのカミーユ・ルブランは至福の笑みだ。
「ありがとうございます、アルフレッド様。それでは失礼致します」
丁寧に頭を下げて、退室した。
シェフの姿が消えると、アルフレッドは「はい、カット」と声を掛けられたかのように、ばたりとソファに凭れかかった。
向かいのソファに居る眼鏡の寮生がキョトンとして、
「どうしたの、レッド」
「あーあ。カミーユのクッキーって美味いよなー、サクサクしてるし、形揃ってるしー」
アルフレッドの言わんとしていることが解る眼鏡の寮生はオリエンタルスマイルを浮かべた。
彼は高等部三年のハルヤ・コバヤシ。日本出身だ。アルフレッドとはギターとベースのバンドを組んでいる。
夏まではドラムが居たのだが、卒業してしまった。現在もその席は空いたままだ。
「また##NAME1##のクッキー食べてえなー。最近は全然送ってくんねーし」
アルフレッドの呟いた名前に、ハルヤの黒い瞳がパチリと瞬いた。
##NAME1##。ユウタの姉だ。
ユウタもハルヤと同じ日本出身。訳ありの学院では珍しく、ごく普通の家庭に生まれ、ごく普通に育った人間だ。
ウーティス寮の生徒は、ユウタの携帯電話を通して、ユウタの姉とよく話していた。
いつしか、彼女と彼等は他愛もない話から、心の奥底に根付いた悩みまで、何でも話せる間柄になっていた。
そんな人が今まで居なかった、訳ありの王子達にとって、彼女は特別な存在になっていった。
しかし、恐ろしく鈍感な彼女に、彼等の想いはなかなか届かず、曖昧だが心地良い関係が今も続いていた。
「##NAME1##のクッキーってさ、焦げてガッチガチで、何の形か解んなくて、マジ、サイコーだったよな!」
アルフレッドの笑顔が示すように、その言葉に悪意はない。
彼の母親であり名女優のグロリア・ヴィスコンティは料理が苦手だったのだ。
その為、アルフレッドにとっては一流シェフによる完璧なクッキーより、
##NAME1##が作った完璧とはとても言えないクッキーのほうが心くすぐられるのだった。
シェフの作る料理に飽きているのは、アルフレッドだけではない。
「そうだね。俺もお姉さんのクッキーのほうが好き」
ハルヤは緑茶色のクッキーを見ながら、
「カミーユのも美味しいんだけど、ね」
「つーかさ。最近はクッキーどころか、##NAME1##から電話も来ねーんだけど。
俺だけ? ハルヤは最近、##NAME1##と話したか?」
クッキーで口が塞がっていたハルヤは、首を横に振った。
「ハルヤもか。##NAME1##、どうしちまったんだ? 風邪でも引いてんのかな?
あっ、そういや外の世界じゃ、インフルエンザが流行ってんだっけ? 日本は平気なのか?」
「日本では大流行してるみたいだよ。兄様も心配して、そっちは流行ってないのかってハガキくれたんだ」
「マジかよ! ヤベッ、すげー心配になってきた!」
アルフレッドはキョロキョロする。
「てか、ユウタはどこに居んだよ!」
「アトリエで絵を描いてるんじゃないかな、多分。展覧会に間に合わないかもって言ってたから」
ユウタは絵画の特別授業を受講して以来、すっかりハマったようだ。
教授に勧められて、来月、島の美術館が開催する小さな展覧会に参加することになっている。
目下、それに出展する絵を製作中で、放課後もサロンで顔を見ない日が多くなっていた。
「ユウタのヤツ、最近、アトリエに晩メシ運ばせたりしてるし、朝メシん時、いつもボーっとしてるしさ。あんなんじゃ、展覧会までにブッ倒れるぜ」
「確かに、最近のユウタ見てると、ちょっと心配かも。あ、そうだ。ユウタにこのクッキー差し入れに行ってみる?」
「おっ、イイじゃん! その前にもう一枚食べてからっ」
「レッド、なんだかんだ言って、カミーユのクッキー、結構食べてるじゃん?」
「アタマ使った後はハラ減るんだよ!」
「そんなに使ってな……いてっ」
アルフレッドは紅茶のクッキーを取る。
口に運ぼうとした時、すっと抜き取られた。
後ろでサクサクと音が聞こえる。
クッキーを食していたのは、高等部三年のアンリ=ユーグ=ド=サン・ジェルマン。
錬金術師サン・ジェルマン伯爵家の末裔であり、昨年、父を亡くした後は、家業を継いでいる。
自分の投資会社は合併し、引き続き経営中だ。
今年、気まぐれに取材を受けた経済誌では、『若干17歳の美しき錬金術師』などというふざけた文字が踊っていた。
その家柄と実績、また美貌が世界中に注目され、仕事が忙しくなってしまった。
在学中ということもあり、不必要な取引は大胆に断っているが、本人は取材を受けた気まぐれを後悔しているらしい。
ハリウッドスターと錬金術師は、子どものような言い合いをしている。
「てめっ、俺のクッキー取んなよ、アンリ!」
「僕が食べようとしてたのを、君が取るんだもの」
「他にもいっぱいあんだろ!?」
「君が他のを食べればいいじゃない」
「お前は何様だ! お姫様か、それとも女王様かあー!?」
「何だって?」
こういう時、いつも二人を止めてくれた人も卒業してしまった。
言い合いが悪化する前に、ハルヤは話題の転換を試みた。
「あ、あのさ。アンリはユウタのお姉さんから電話来るの?」
言い合いが中断する。
琥珀色の鋭い眼光が向けられたが、一瞬で反らされた。
アンリは靴音を響かせて、ハルヤが居るほうのソファに歩いていく。
「あの、アンリ?」
「来ないよ。夏を過ぎた辺りから、全く来ない」
ハルヤの隣に腰を下ろした。アルフレッドが笑う。
「なーんだ、お前もかよ。いや、解ってたけどなっ。俺様に電話が来ないんだから、お前に来るはずな」
アンリはアルフレッドの言葉を切った。
「彼女、飽きたんじゃない? 僕達に」
「ぬぁにぃー!?」
アルフレッドがMAXの声で叫ぶので、ハルヤの肩がビクッと跳ねた。アンリは淡々と話す。
「そんなに驚くこと? 日本に居る誰かと親しくしていても可笑しくないもの」
「な、何言い出してんだよ、お前はっ! あいつがもう俺達に興味ないってのか!? んなわけあるかよ!」
「では何故、僕達は##NAME1##に放って置かれるの?」
「それは、だな……カゼ引いてんのかもしんねーし、なんか色々忙しいのかもしんねーし……」
語尾が小さくなる。アンリは冷たく微笑んだ。
「LA LUNA. 『月』は移ろう。いつまでもフルムーンでは居られない」
サロンが、シンと静まり返る。ハルヤはぽつりと零した。
「俺達、##NAME1##とは、もう話せないのかな」
「なあっ! こっちから会いに行っちまおうぜ! ##NAME1##にはナイショでさ!
そんで、会いに行ったこと、喜んで貰えるか、ヤな顔されんのか、この目で確かめてやる!」
「彼女と会うことで、最後の審判が下されるとしても?」
「当たり前だ! お前らが行かないんなら、俺は一人でも日本に行くぞ!
つーか、いい加減、エネルギー切れ! とにかく会いたいから会ってくる!」
アンリがぼそりと言う。
「単細胞」
「悪かったなっ! どーせ俺は##NAME1##バカですよーだっ! ヘンッ」
アンリはそこでクスリと笑った。
それを隣から見ていたハルヤは、あれ、と思う。
いつもの冷笑よりは幾らか柔らかい表情に見えた気がした。
「ねえ、ハルヤ」
「え、な、なに?」
「君は日本に行かなくていいの? 僕は行くけれど。単細胞を一人で行かせたせいで、先を越されるなんてことがあったら御免だからね」
ハルヤは少し俯いた。
「えっと、俺も行きたいな。一緒に行っていい? レッド」
「ああ、もちろんハルヤはな。アンリは仕方なく、しかたな~く、同行を許可してやろう!」
「……何様?」
「じゃあ、ついでにジョシュアとシルヴァンにも声掛けてさ、##NAME1##とみんなで楽しもうぜ!」
「えっ? シルヴァンも?」
ハルヤが驚く。
「ああ。イイだろ? 久し振りにデッド・プリンスが全員揃うな! 日本のストリートで復活コンサートでもやるか?」
アンリは呆れていた。
「君、自分がアルフレッド・ヴィスコンティだってこと忘れてる?」
「変装でもしとけばイイじゃん」
「声でバレると言っているの。救いようのない単細胞だね」
「あのさ。来れないんじゃないかな、シルヴァンは」
「なんでだよ? ハルヤ」
「ほら、シルヴァンはさ、最近、世界のあちこち行ってて、なんか忙しそうだし」
「そーなのか?」
「写真付きのメールが、学校のパソコンに時々送られてくるんだ。
ほら、『ピラミッドと僕♪』とか『ミステリーサークルと僕♪』みたいなメール、来てない?」
「ゼンゼン」
「あれ? そうだったんだ。てっきりレッドにも送ってるのかと思ってた」
「ねえ。シルヴァンって、卒業後、世界の不思議ツアーでもしているの?」
アンリが尋ねると、ハルヤは首を振った。
「わかんない。『僕が今何をやっているのかは誰にも話せないんです、ごめんなさい』って言われてるから、詳しいことは聞けないし」
「ふうん。そう。大体解った」
「えっ?」
「何が解ったって言うんだよ、アンリ」
「彼が言った通りさ。『誰にも話せないこと』をやっているんだよ、彼は。そういう世界に居るんだ」
アルフレッドとハルヤは顔を見合わせて、首を傾げた。
「シルヴァンのメールアドレスが解るなら、シルヴァンへの連絡係は君だね、ハルヤ」
アンリにそう言われて、ハルヤは頷いた。
「あ、うん。解った」
「じゃあさ、ジョシュアにはどうやって連絡する?」
「てゆうか、ジョシュア、来てくれるかなあ? 今、王子様だし、本物の」
当代のロレート国王に指名され、今や正式な第一王子。
現在は勉強の日々で、国史や国政から現国王がほぼ無視している王室の礼儀作法まで学んでいるらしい。
本人から聞いたのではない。
ハルヤはその情報を新聞や雑誌で知ったのだ。この前まで、このサロンに居た人を新聞色の写真で見るのは、不思議な気分だった。
「ジョシュアなら来れるんじゃない? 今の時期なら、大した行事もない筈だから、暇にしてるよ」
「おー? ロレートについて詳しいじゃん、アンリ」
「たまたま、そういう情報が耳に入ってくるだけ」
「じゃあさ、ロレート王室の広報にでも電話してみっか!
俺が掛けてビックリさせてやってもいいぜ! ジョシュア王子を出せ! さもなくば」
「捕まるよ。そういう冗談、通じない国だから。ジョシュアのアドレスなら僕が知ってる」
「へえー。長い付き合いは今も続いてるんだ?」
「ハルヤと同じだよ。向こうが勝手に送り付けてくるだけ」


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